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「模試が、返ってきて、やっぱり、私じゃ……っ、むりだな、って分かって。
その瞬間、なんか、ぜんぶ――めんどくさく、なっちゃって」
5番目のアルファベット。
それを見た途端、お腹や胸に穴が空いたみたいな感触がした。
五感が希薄になって、頭が真っ白になった。
――面倒臭い。
何かを思うより先に、そうラベルを貼った。自分の内に留められる限界まで溢れた感情を一緒くたにして、大きなラベルで一つに纏めた。
考えたくなかった。だって面倒臭い。思い出したくなかった。何でか涙が出そうで、面倒臭いから。
「全部、全部が、めんどくさく、なっちゃって」
俯いて、ぐしょぐしょの袖で目を擦った。店員さんは眉を顰めてそれを止めて、私の頬の涙もハンカチで拭ってくれた。
それから、真っ直ぐに私の目を見て、口を開いた。
「なぁ、違うよ」
「……なにが、です、か?」
「それって、面倒臭いんじゃないよ。もっとよく、目を逸らさずに考えてみて」
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