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その黒い毛も綺麗だって、私は思うなぁ」
黒猫は、嬉しくなりました。
だって、この鳴き声も、この黒い毛も、
誰にも、一度だって、褒められた事は無いのですから。
そして、黒猫は思いました。
今まで、誰も僕の声を聞いてくれなかった。
他の動物は勿論、僕と同じ、猫でさえも。
そんな僕の声を聞いてくれる君も、君のその力も、
…僕は、素敵な物だと思うなぁ。
「…ありがとう、黒猫さん」
女の子は、嬉しそうに笑います。
「ねぇ、一緒に歌おう?」
歌うの?
「そう。
貴方の声と、私の声で」
黒猫は、なきました。
なーん。なーん。
「ふーん、ふふーん」
女の子も、歌います。
ハミング。
言葉の無い歌。
夜の空に溶けそうな、
夜の空に溶けてしまいそうな、
けれど、確かにそこにある、二つの旋律。
お月様とお星様は、そんな、一人と一匹を、
なんだか嬉しそうに、照らしていました。
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