独りぼっちの、黒猫と、

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独りぼっちの、黒猫と、

 猫が一匹。  なーん。  夜に溶けてしまいそうに黒い猫。  ななーん。  独りぼっちで、丘の上。  なんなかなーん。  お空に向かって。  なーーーーんなーーーーん。  黒猫を照らすのは、お月様と、お星様。  ぴかり、ぴかり、ぴかぴかり。  ぴかぴかぴかり、ぴかぴかり。  仲良く一緒に、光っている。  なーん。なーん。  黒猫はなきます。  悲しそうに。寂しそうに。  黒猫の瞳から、涙がほろり。  丘の上、ぽたり。  どうして僕は、独りぼっちなんだろう。  どうして僕の側には、誰もいないんだろう。  僕が、真っ黒だから?  夜の闇に溶けてしまいそうなぐらい、真っ黒だから?  それとも、この鳴き声のせい?  みんなとは違う、鳴き声のせいなの?  なーん。なーん。  黒猫は、問い掛けます。  仲良く並んでいる、お月様とお星様に。  お月様、お星様。  僕はどうしたら、独りぼっちじゃなくなりますか?  僕はどうしたら、救われますか?  お月様もお星様も、何も言ってくれません。  黒猫は、なきます。  どうしようもなくて。  なく事しか、出来なくて。 「…君も、独りぼっちなの?」  そんな黒猫に、突然、声が掛けられました。     
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