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ただ、親しげに話しかければ、後は周りが勝手に何とかしてくれる。
俺の心は暴風雨のように荒れ果てたけど、会長様が2回、3回と話しかけてくるうちにどうでも良くなってしまった。
小さい嫌がらせや、呼び出しはあったものの、大事には至っていないというのも大きい。
案外、親衛隊も会長様が悪食だと言う事に気が付いて諦めモードなのかも知れない。
そして、今日も体育館裏という誰も来ないであろう場所でお弁当を出していると会長様が来た。
「よう。」
「ああ、どうも。」
一応おざなりに頭を下げた。
どうせ誰も見ていないし。見られたとしても、フレンドリーでも余所余所しくても呼び出し対象だ。
なら、気を使うだけ無駄。
そう、考え方を改めたのはいつだったか?今はもう覚えていない。
「今日は唐揚げか。うまそうだな、一つくれ。」
お弁当箱を会長様に差し出すと、物凄く渋い顔をして
「ここは、どう考えても『あーん』だろうが!!」
と憤慨していた。
知らんがな。
文句を言いながらも、唐揚げを一つ自分で摘んでいた。
弁当を食べながら、チラリと会長様を盗み見た。
やはり恐ろしいくらいの男前だ。
それこそ彼ならば、よりどりみどりなのだ。
今は、俺に興味を示しているだろうが、それも長く続くはずがない。
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