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「最後まで、飽きないんですか?」
口をついて出たのはそんな皮肉で、思わず自嘲気味に笑った。
「飽きないに決まってるだろ?だって秋月が俺の事好きなんだから。」
「……気が付いていたんですか?」
あまりに自信満々に言われ思わず口からこぼれた言葉は先輩の言ったことを肯定するもの同然で。
「馬鹿な俺でもさすがに気づく。」
双眸を緩め、そう言われる。
最近、先輩はよくこういう表情をしていた。
気が付いていたからだったのか。
でも、それでもそれは今日でおしまいだ。
急に切なくなった様な気がしたけど、きっと気のせいだ。
「今まで、ありがとうございました。」
かろうじて、それだけ言ってその場を去ろうとしたのに、先輩に腕をつかまれそれも叶わなかった。
「せん、ぱい……。」
歪みそうにになる顔を必死に我慢して、だけど我慢できずに眉根を寄せた。
きっと、もともと不細工な顔が更に酷い事になっているだろう。
「”今まで”ってなんだよ。
俺は、”これから”お前と付き合いたいんだよ。」
「だって、卒業するんですよ?」
おずおずと答えた俺に先輩は溜息を一つついた。
「それがどうした。」
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