3人が本棚に入れています
本棚に追加
女性型オートマタと番犬
激しく金属がぶつかり合う、鋭い音が辺りに響き渡っている。
「ぐわっ!」
次の瞬間、男の悲鳴が上がり、それに続くように恐れ慄く複数の人間の声が森の中に消えて行く。
その後に残されたのは、大型犬サイズの青い四足の異形に体を飲み込まれる男と、人間味の無いのっぺらぼうのような容姿をした人形で、その背後には大きいが古びた城がそびえ立っていた。
そして彼等が立つのは森と城に横たわる河にかけられた黄ばんだ煉瓦作りの橋の上だった。
『任務完了、不許可侵入者を排除しました』
喋る口を持たぬはずの人形から女の声がそう言うと、手にしていた大鎌に付着した敵の血を振り払う。
そう、彼らは――彼女等はこの城の門番であり守護者だった。
「グルルル……」
青い四足の異形が完全に男を飲み込み終わり、男を飲み込むためにほぼ真っ二つだった身体が閉じて普通の四足の獣のような姿になる。
しかし獣と言ってもその身体に毛は一本も生えてはおらず、代わりに不思議な紋様が刻まれていた。
不思議な文様が刻まれているのは人形も一緒だった。
顔と首元、腹部に幾何学模様が描かれている。
最初のコメントを投稿しよう!