1410人が本棚に入れています
本棚に追加
「ありがとう。セレナのお陰で降りるのが楽だったよ!」
ストっ。っと、軽い音を響かせて、ルイが再び窓から部屋へ戻ってきた。
その肩には大きな白い布袋が掛けられている。
「それは何?」
「言ったろ?君に魔法をかけるのさ。」
ルイは私の頭をひと撫ですると、袋の中身をベッドの上に取り出した。
「これを・・・私に?」
中から出てきたのは、オールドローズ色の美しいドレスだった。
まるで、お母様のドレスみたい。
「あのドレス・・・お母様の形見だったんだね。」
ドレスに魅入っていたら、後ろからルイに包み込まれた。
「見ていたの?」
「あの時、君を羽交い締めにしていたのは、僕なんだよ。」
「えっ?」
なんてこと!
全く気が付かなかった・・・。
「本当に、酷いことをする人たちだ・・・。守れなくて、ごめん。」
私を抱きしめるルイの腕に力が籠る。
「こんなことになるなら、もっと無理矢理にでも、君にあの靴を渡させるべきだった。」
最初のコメントを投稿しよう!