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『リュウ。あの館のことを調べてくれ。きっとあそこにいる子が、僕の探し人に違いない。』
この言葉で締めくくられた会話の主は間違いない...。
瑠依さんの声だ...。
もう一人の男の人の声も、聞き覚えがある。
ぶっきらぼうな物言いは、ディナーを届けてくれた人と重なった。
二人は、間違いなく私のことを話している。
優しかったお手伝いさんのお婆ちゃんも、そのお孫さんも、覚えている。
じゃあ、瑠依さんは何故私を探しているの...?
まさか...そんな.....。
「これ、あなたのことでしょ?」
優利愛お姉様の手から落ちたボールペンのようなレコーダーが、コロコロと机の上を転がって、私の前で止まった。
「ねぇ、どうして瑠依様があなたを探しているの?」
莉理愛お姉様が、私の肩を強く掴んだ。
「.....わ...分かりません.....。」
「正直に言った方が身のためよ?...私、知ってるんだから。」
反対の肩に、優利愛お姉様の体重が掛けられる。
身体と一緒に、気持ちが沈んでいく。
お姉様は、一体何を知っているんだろう...。
ギシッと、目の前のソファの軋む音がして顔を上げると、貼り付けた笑顔を歪ませたお母様が立っている。
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