第四章 偽りのプリンセス

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「あぁ...トレナ。私の可愛い娘...。さぁ、話してごらんなさい。あなたの大切な靴は何処にあるの?」 「...靴...?」 何のこと? 何の話をしているの? 『靴』と聞いて、私に思い当たることなんか───・・・ まさかっ!? 考えが、顔に出てしまったみたい。 私があの靴の存在を思い出した瞬間に、お母様に顎を掴まれた。 「さぁ...教えて頂戴。」 「だ...、だめっ...!あれだけはっ!絶対にだめっ!!」 私は三人を振りほどいて一目散に物置部屋へ走った。 「っ...チッ!!...待ちなさいっ!ほら、あなたたちも追いなさい!!」 「はいっ!お母様!!」 すぐ後ろを、二人のお姉様たちが付いてくる。 まるで悪魔に魂を売ったかのような二人の目のギラつきを見ると、もっと速く走りたいのに、恐怖で足がもつれて転びそうになってしまう。 見てはダメ! 捕まってしまったら、本当に私は『いなかったこと』にされてしまう! 部屋の扉が見えた。 私は急いでノブを回すと、隙間に滑り込むように部屋に飛び込み、鍵を閉めた。 ドアの前に古い机や椅子を積み上げて、即席のバリケードを作ると、遂にその場に座り込んでしまった。 ──ドンっ!ドンっ!! 「開けなさい!トレナ!!」 「私たちから逃げられると思ってるのっ!?」 ドアの向こうから、お姉様たちの怒号が聞こえる。     
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