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莉理愛お姉様の冷めた視線が、ベッドに向けられると、冷や汗が流れた。
あぁ、私...なんてことを...。
ここへ立ち塞がってはここにあると言っているようなものじゃない!
「ないっ!...ここにはないの!...そもそも私は...靴なんて知らないの!!」
「知らないのに随分と必死ね。それに、知らないのならどうして『持ってない』なんていうの?どうして『知っているの?』なんて尋ねたの?...ふふ、矛盾だらけ。トレナってホ~ントおバカさんね。」
どいて頂戴。と、優利愛お姉様に肩を押され、私は本棚に背中を打ち付けた。
バサバサと、雪崩のように落ちてきた本が、私の前に山を築いていく。
「あっ!...だめっ!!」
最悪なことは、最悪なタイミングでやってくる。
山の一番上に、あの鍵が露わになった。
「あら、なぁに?この鍵は?もしかして、これが宝箱の鍵なのかしらぁ??」
「やめてっ!それはっ!!それだけはっ!!!」
「暴れるなっ!」
鍵を手にした莉理愛お姉様に掴みかかると、再び細身の男に身体を抑え込まれた。
「離してっ!」
カチャっと、冷たい音とともに、ひんやりとした鉄の塊がこめかみに押し当てられた。
「動くな。...奥様たちに、隠してあるものを渡すんだ。」
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