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ひらひらと、百合子様の手の中からまるで花びらみたいにドレスの欠片が散り落ちていく。
ひどい...。
こんなの.....ひどすぎる...。
お母様のドレスが、一瞬にしてただの布切れになってしまった。
百合子様と、それを見ているお姉様たちが、これまで以上に楽しそうに笑っている。
どうして?
何が楽しいの?
...私をいじめるのが、そんなに楽しいの?
悔しいのに、悲しいのに、身動きすることは疎か、声すら出せない自分が情けない...。
「さぁ、これでこの部屋にもこの娘にも用はないわ。」
百合子様は晴々とした表情で、パチパチと手を叩き、手についていた糸くずを払った。
「えぇ、お母様。これで瑠衣様が私のものになるのね!!」
「そうよ!きっと今夜のパーティはお姉様のお披露目パーティになるわ!!私も妹として恥じないように、いつも以上に綺麗に着飾っておかないと!!」
お姉様たちが、意気揚々と上気した頬を撫でながら部屋を出て行った。
百合子様も、それに続いて部屋を出ていこうとして、一瞬だけこちらを振り返った。
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