1410人が本棚に入れています
本棚に追加
「さて...どうしたもんか...」
賑やかな会場を、なるべく目立たないように歩きながら、あちこちに視線を飛ばす。
どうやらまだ彼女たちが来る気配は無いらしい。
ふと、左手の腕時計に視線を落とす。
夜の七時を半分少し過ぎたところとなれば、パーティが始まってからはもう一時間になろうという頃だ。
「...そろそろかな?」
ちょうど入口の扉に目を向けた時、その重たいドアが開かれた。
遅れながら登場したその人の姿に、会場の皆が息を飲んだ。
しん...と、張り詰めた空気の中を、一歩、一歩、その人はこちらへ近付いてきた。
まるで絵本の中のシンデレラさながらの淡いブルーのドレス。
生まれてこのかた、陽に当たったことがないかのような白く透き通るような肌。
白に近いプラチナブロンドの髪を靡かせながら歩くその姿は、完璧なプリンセスの歩みだった。
皆が、彼女に見とれている。
最初のコメントを投稿しよう!