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その姿に、思わず喉を鳴らした。
──なぜ、ここに彼女がいる?
「遅くなって申し訳ございませんでした。今宵もまた、お招き頂き、光栄でございます。」
彼女の後ろに立つ、ふくよかな中年女性が優雅な動作で頭を下げると、それに合わせるようにしてもう一人の小柄な女性も頭を下げた。
見覚えのある顔だ。
このご婦人は、連日のパーティで誰よりも熱い視線を送っていた。
確か、別の社交の場でも一度会ったことがある。
名前はもう、調べがついている.....。
驚くほど簡単だった。
彼女の亡くなった夫は、あの、『大道寺リューマ』なのだから!
「こちらこそ。何度も御足労お掛けしまして、申し訳ございません。ミセス・大道寺。」
「まぁ!覚えていて下さったなんて!嬉しいわぁ!!」
名前を呼ぶと、彼女はとても嬉しそうに声を荒らげて手を叩いた。
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