第六章 ロマンスの入口

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あぁ、もうダメ...。 きっとこのまま私は、この男に強姦されて、その後は全て無かったことにされるんだわ。 私の存在そのものを、きっと...。 ナイフで切り落とされたボタンが、入口のドアに当たって動きを止めた。 男の手が、ゆっくりと腹部から上に這い上がり、前を全て開かれてしまったシャツを、はだけさせていく。 「ほら...いよいよだ。怖がらなくていい。...優しくしてやるよ。」 未だかつて、人に晒したことが無い部分を、無遠慮で、ガサツな男の手が這っている。 興奮に息を荒らげている姿も、生暖かい吐息と一緒に耳に流し込んでくる囁き声も、ニヤリと歪んだ口元も、全てが不気味で気持ち悪い。 こんな男に、私は自分を奪われてしまうの? 逃げ出したい。 今すぐ、ここから逃げたいのに...。 どうして、こんな目に...。 一体、私が何をしたというの? 私みたいな女には、夢を持ち続けることもしてはいけなかったとでもいうの? ただ、夢を見ていただけなのに...。 まだ、何も叶えていないのに...。 怖い...。 誰か.....、誰か.....助けてっ! ルイ.....っ!
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