1410人が本棚に入れています
本棚に追加
「大丈夫だよ。」
仮面を外したルイが、私の四肢の拘束を解いていく。
私に掛けてくれたその声はとても優しいのに、今はそれが恐ろしい。
恐ろしいと思ってしまうことが、とても申し訳なくて、悲しい...。
あなたに人の命を奪わせてしまった自分という存在が、悲しい。
「大丈夫だよ。セレナ。」
ルイは自由になった私の手を取って、起き上がらせてくれた。
でも、倒れている男の姿がハッキリ見えて、私は咄嗟にルイの手を振り払ってしまった。
「怖かったよな。...本当にごめん。...だけど、本当に大丈夫だから。僕は人殺しなんかしていないよ。」
離れた私を引き寄せて、その胸に抱きながら、彼は優しく微笑んで、倒れている男を指さした。
最初のコメントを投稿しよう!