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運命
映清が生まれてから、緋家の人々は、瞬く間に赤ん坊の虜になった。中でも香凛は、ことあるごとに映清を抱きにきた。
「本当にかわいいわねえ」
彼女にしてみたら、初孫も同じだ。蒼華はそわそわしながら、
「本当だな。なあ、真桜。二人目ほしいな」
「できないだろう、馬鹿者」
真桜はそう言いつつ、清映を見て瞳を緩める。
「二人によく似ている」
「そうでしょうか。私には似ていない気がする」
清明はそんなことを言う。永凛は呆れ気味に、
「こいつ、こればかり言うんだ」
「似てるじゃねーか、耳の形とか」
蒼華が首を傾げたくなる擁護をした。そこに、隆生がやってくる。
「お、検診の時間か」
蒼華を始めとした皆が、部屋からぞろぞろ出て行く。しまいには、清明と永凛、隆生だけが残された。隆生は、清映の様子を記録する。
「問題ないようだ」
部屋を出て行こうとする隆生を、清明が引き止めた。
「待て。聞きたいことがある」
振り返った隆生が、何をでしょう、と尋ねた。
「永凛が、凛映の子ではないかということだ」
映清を抱いた永凛は、ハッとした。隆生はかぶりを振る。
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