549人が本棚に入れています
本棚に追加
永凛の言葉に、二人が視線を合わせた。なんだ、あの目配せ。
「代理の当主だが」
そう答えた清明に、蒼華が突っ込む。
「代理で18年もやるか。緋家には跡取りがいなくてな。こいつが一番ふさわしいとされたんだ」
「ふーん」
緋家の内部事情などどうでもいい。それよりも。
「なんでもいいが、あんたが許せば俺は無罪放免な訳だろ。許してくれよ、清明さま」
「気安く呼ぶな。スリの上に他人の名を騙るとは、見下げた子供だな」
「ふん。バラされてもいいのか? 偉い精霊使いが、死体漁りを趣味にしてるって」
「こら、調子に乗るなよ、永凛」
その名を聞いて、清明がぴくりと肩を揺らした。
「永凛?」
「ああ、こいつ緋永凛とか名乗ってやがったんだ。リンエイの名前をもじったんだろうがな」
その瞬間、清明の瞳が鋭くなった。
「──なるほど。叔父上、先に行ってください。それの始末も私が」
「え、ああ」
蒼華は、魔除けの入ったカゴを渡し、ちらっとこちらを見た。永凛が睨み返すと、
「えーと、清明。生意気だがまだガキだし、尻叩くくらいで勘弁してやれよ」
「ええ」
彼はそう言って、永凛の襟首をつかんだ。
最初のコメントを投稿しよう!