陰陽

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 永凛の言葉に、二人が視線を合わせた。なんだ、あの目配せ。 「代理の当主だが」  そう答えた清明に、蒼華が突っ込む。 「代理で18年もやるか。緋家には跡取りがいなくてな。こいつが一番ふさわしいとされたんだ」 「ふーん」  緋家の内部事情などどうでもいい。それよりも。 「なんでもいいが、あんたが許せば俺は無罪放免な訳だろ。許してくれよ、清明さま」 「気安く呼ぶな。スリの上に他人の名を騙るとは、見下げた子供だな」 「ふん。バラされてもいいのか? 偉い精霊使いが、死体漁りを趣味にしてるって」 「こら、調子に乗るなよ、永凛」  その名を聞いて、清明がぴくりと肩を揺らした。 「永凛?」 「ああ、こいつ緋永凛とか名乗ってやがったんだ。リンエイの名前をもじったんだろうがな」  その瞬間、清明の瞳が鋭くなった。 「──なるほど。叔父上、先に行ってください。それの始末も私が」 「え、ああ」  蒼華は、魔除けの入ったカゴを渡し、ちらっとこちらを見た。永凛が睨み返すと、 「えーと、清明。生意気だがまだガキだし、尻叩くくらいで勘弁してやれよ」 「ええ」  彼はそう言って、永凛の襟首をつかんだ。
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