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小瓶
ぐったりした顔で、永凛はつぶやく。
「……だりぃ」
「だろうな」
と清明。だろうな、じゃないだろう。誰のせいだと思っているんだ。
永凛は、清明の部屋にある寝台に寝かされていた。清明に出会って以来、あり得ないことが多すぎる。1日に3回も犯されるなんて、清明はしれっとした顔で、
「無駄な時間を浪費した。私は仕事に行く」
永凛は、疲れた顔で清明を見る。
「おまえさ、あいつらを追い払うために俺を利用しただろ」
「なんの話だ?」
「……とぼけんなよ、うぜぇ」
清明はふ、と笑い、永凛の頭を撫でた。
「よく休め、私の番い」
もう争う気力もない。言われるまま、永凛は目を閉じた。
次に目覚めると、清明はすでにいなかった。永凛は、ひどく腹が空いているのに気づく。なんか食いたいな、家探しに行こうか。そんなことを思っていた、戸を叩く音がした。返事をすると、開いた戸から、男がひょい、と顔を出す。
「お、ほんとにいた」
「あんた……」
燕蒼華がよお、と手を挙げ、部屋に入ってくる。彼は卓にどかりと腰を下ろし、
「びっくりしたよ。清明のやつが、おめえを連れて帰ってきたとか言うから」
永凛の顔を覗きこんだ。
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