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「へええ、洗ったらカブみたいにピカピカじゃねえか」
清明と同じことを言っている。似ていないが、少しだけ彼らに血の繋がりを感じた。蒼華はくんくん鼻を鳴らし、
「ん? なんか、変な匂いすんな」
その言葉に、永凛はかっ、と赤くなった。先ほど清明に抱かれた名残だろう。
幸い肌が浅黒いせいで、赤面したことには気づかれなかったようだ。
「ああ、そうだ。これ、飯。おまえに持ってけって清明が」
「!」
永凛はひったくるように茶碗をとり、がつがつと食べた。
「よっぽど腹が減ってたんだなあ」
蒼華がそう言って笑う。永凛はもごもごと口を動かし、
「あいふほほひっはほ」
「いや、何言ってるかわかんねえ」
ごくんと飲み込んだ後、あいつどこ行ったんだ、と尋ねた。
「清明か? 仕事はもう終わってるだろうし、多分リンエイのとこだな」
「リンエイって……死んだんだろ」
「ああ、祭壇を参ってるんだよ。あいつらは番いだったから」
普通、死んだら絆が切れて自由になるもんだが。蒼華はつぶやく。
「忘れられないんだろう。あいつにしてみりゃ初恋だっただろうし。リンエイが死んだ時、あいつも死ぬかと思ったくらいだ」
「……そのリンエイって人は、なんで死んだんだ?」
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