娘のお気に入り

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「ねぇママ、綺麗でしょ」 ほのかは七色に光るペンダントを私の妻、葵に見せびらかした。 「あら、素敵なペンダントね。自分で選んだの?」 葵は笑顔でほのかに言った。 「うん」 ほのかは満面の笑みで答える。 葵とほのかの語らいを見るのは、私にとっての癒しだ。この2人を見ていると、また月曜から頑張ろうという気になれる。 「ねぇママ、これ何?」 ほのかがペンダントの裏側を指差した。裏側はシルバーのコーティングがなされているが、その中に「d」という文字が浮かび上がっていたのだ。 「これはディーって読むのよ。文字の1つね。来月から行く英語教室で教えてもらってね」 「なんでディーって書いてあるの?」 ほのかが素朴な疑問をぶつけた。 葵は返答に困ったのか、しばらく考え込んだ。 「さぁ、なんでだろう?ママにもわからないわ」 葵にはそう答えるのが精一杯だった。
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