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キラキラの正体
約束の日、ほのかはいつものあの店でステッキを手に取りレジまで持って行った。
値段は650円。痛い出費だ。
「ありがとうございました」
いつもの店員がいつもの挨拶をするが、今日私はここで帰るわけにはいかない。
「あの、店員さん」
「どうされました?」
「この店の商品のキラキラの正体、わかりました」
私が笑顔で言うと、店員もにっこり微笑んだ。
「あれ、CDでしょ?」
私がそう言った根拠は、4つのアルファベットだった。d,c,s,i,この4つを並べ替えるとdiscとなる。市販のCDには必ずcompact discと書かれたロゴが使われており、それらが破片にされたときバラバラになった、と考えたからだ。
ましてやCDの演奏面は光を当てると様々な色の光を反射する。これが一番合理的な答えだった。
「それは企業秘密ですので」
と店員は言い、再び微笑んだ。そして続けて
「でも、お客様の推理は、素晴らしいと思いますよ」
と言った。
「ねぇパパ、早くしないとソラミのショーが始まっちゃうよ」
「おっ!そうだった」
今日はもうすぐ近くのデパートで「マジカルピアニスト ソラミ」のショーがあるのだ。急がねばならない。私とほのかはそそくさと店をあとにした。
私はデパートに向かう途中、ハンドルを握りながらふと考えた。
あのキラキラがCDだとして、どうやって大量のCDを手に入れたのだろう?この店では店内すべてのグッズにCDが使われている訳で、下手をしたら膨大なコストがかかる。商品の値段も手頃なわけだから、きっとコストを下げる秘策があるはずなのだ。一体何なのだろう?
そうこう考えているうちにデパートの駐車場に着いてしまった。ほのかは私の手を引くとグイグイと「マジカルピアニスト ソラミ」ショーの会場へと引っ張っていった。
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