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散歩がてら
三年間付き合った恋人と別れた。
ちょっとした口論から別れ話になり、俺は恋人と離れるために引っ越しをした。
すると寂しさがやって来た。
好きだった人が生活からいなくなるのはやっぱり寂しい。
俺は会社の帰りに一人分の食材を買い、キッチンで一人で料理をし、一人で食べながら思った。
「そうだ、犬を飼おう」
犬を飼うと旅行に行きづらくなるとか散歩に毎日行かなくてはいけないとか、ネガティブなことが浮かび躊躇していたがそんなことはもうどうでも良くなった。
もう俺は犬にこの寂しさをどうにかして貰いたいという気持ちで頭がいっぱいになってしまっていたのだ。
休日になるとさっそくワンちゃん探しに出かけた。
ペットショップを数件回る。
普通は犬種だとか値段だとかを見るのかもしれないが、俺はどの子が一番俺の寂しさを慰めてくれそうかという目でしか見られなかった。
190センチの俺がしゃがみ、ガラスにへばり付いて一匹一匹を凝視する。
(くそ、どいつもこいつもかわいいじゃねーか)
とても俺には選べそうにない……。
「どの子がお好みですか?」
犬の絵の入ったエプロンをした女性店員に聞かれた。
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