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「うわっ」
思わず出してしまった声に留が反応し、振り返る。
「うるさいなあ。入るときはノックしてよ」
「したよ。それよりも、それ、何だよ……」
留が持っている「なにか」を指差す。指先が小刻みに震えているのが見えた。
「これ? 内緒。ここにいるってことは、組み立ててるところ見てたんでしょ? 何なのか当てられるはずだよ」
「見てない。部品が一瞬でそうなったんだ。マジックか何かか?」
「まさか、冗談だよね。僕はちゃんと組み立てたよ。あっ」
何かに気付いたのか、留は時計を見る。
「一分も経ってない……」
ボソッと呟くと、手の中の黒い塊を見つめた。
「やっぱり、僕おかしいのかな」
「どうしたんだ。何か悩んでるのか? 俺で良かったら話聞くぞ」
「何にも分かってないくせに兄貴面すんなよ!」
留が、「なにか」を持っていない方の拳を机に叩きつけて立ち上がった。
俺を正面から睨んでくる。
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