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「亘はいいよね。何もしてなくても両親に愛されて、友達も多くて、女の子にも好かれて。そんなのおかしい。僕が間違ってるっていうの? 努力して、勉強も頑張って、それでも亘の方が優れてるっていうの? どうして亘は何も努力してないのに、友達ができるの? 僕にはいないのに。僕は何をしたって愛されない人間なんだ。こんな不平等な世界、もうなくなってしまえばいい。これを投げたら終わる。僕も、そして、お前も。一緒に死のう。そしたら楽になれるはずだ」
留が振りかぶって「なにか」を投げようとする。
俺が左腕で顔を庇おうとしたとき、黒い人影が見えた。
パチンという乾いた音がして、俺は顔を上げた。
メイナが右手を伸ばした状態で留の目の前に立っており、留はというと、呆然と立ち尽くしている。
その頬が赤く腫れていた。
「どう、して」
留の口から声が漏れる。
「貴方、バカですか」
メイナが肩を怒らせて吐き捨てた。
留は気迫に負けたのか、口を閉じ、俯いてしまった。
「とりあえず、その物騒なものをどこかに置いて、ばらしてください。見たところ、衝撃で爆発するようになっているのでしょう?」
留はこくりと頷くと、黒い塊を机の上にそっと置く。留が両手を近づけた瞬間、塊は部品に戻った。
「ありがとうございます。少し、話しませんか?」
メイナが言うと、留は椅子にすとんと座った。
「他にもいるんだろ。入れば?」
留がドアの方に向かって声をかけると、俯き加減で結里と奏音とりんが入ってきた。
留はぼんやりとその様子を見ていた。
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