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「こんなにいるとは思わなかった」
留が誰ともなしに呟いた。
奏音が、立ったまま留を抱きしめた。
「よかった、生きててくれて。何もなくてよかった」
奏音の豊満な胸に、留の頭が埋もれている。苦しそうに手足をバタバタさせているが、羨ましい限りである。
そんな二人の横で、メイナは自分の胸をじっと見下ろしている。
結里とりんは、顔を見合わせて苦笑していた。
「そろそろいいですか」
メイナがこほんと咳払いをすると、奏音がようやく留から離れた。
留は予想通り、真っ赤な顔である。奏音が慌てて弁解する。
「トドメくんに何もなくてよかったーって安心したら、ぎゅってしたくなっちゃった。苦しかったよね? ごめん」
「いや、別に」
留が、両腕を足の間に置いて俯いた。
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