未来は必然

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「これで分かったでしょう? 貴方は間違っています。貴方には心配してくれる友達と兄がいます。つまり、貴方は愛されているのですよ。そもそも『何をしたって愛されない人間』と言っていましたが、誰かに確認したことはあるのですか? それに、土岐亘が努力していないというのは、本当にそう思っているのですか? だとしたらバカです。別に、貴方が世の中に不満を持っていて、一人で命を終わらせようとしているのであれば、私にそれを止める権利はありませんが、誰かを巻き込んで死のうと思うのなら、それは迷惑でしかありません。」  メイナが畳み掛けるように話す。留は黙ったままだ。じっと床を見つめているため、表情も分からない。 「留くん。私も同じクラス委員長として心配してたよ。最近元気なさそうだなって。でも、声をかけられなくてごめんね」 「あたしも、せっかく相談してくれたのに、力になれなくてごめん」 「最近わたしたちとワタルくんで集まることが多かったから、寂しい思いさせてたかもしれないわね。でも、なにも留くんに意地悪しようと思ってたわけじゃないのよ」  控えめに鼻をすする音が聞こえてくる。だんだんそれが大きくなり、観念した留が顔を上げた。 「ありがとう」  涙でぐちゃぐちゃになっていた。  あまりにも素直で不気味なほどだったが、それは口に出さないでおいた。
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