未来は必然

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 教室に着いたのは、始業一分後だった。 「遅刻だぞ」  ゴリラマッチョがぎろりとこちらを睨む。 「二人一緒に遅刻……? 朝から何してたんだ。やらしいな」  お調子者の男子が体をくねらせて、クラスに爆笑の渦が広がる。 「いやらしいことなど何もしてませんが。想像力豊かですね。貴方はどうて」 「はいはい、もういいから。席に着こうな」  とんでもないことを言いだしそうなメイナをなだめて、自分の席に向かおうとした。 「おい、俺を無視するな。遅刻したのに挨拶もなしだと?」  担任が俺の肩をがっちりつかんできた。前に進めない。そしてすごく痛い。 「あー。すみませんでした。もうしません!」  俺は頭を下げる。 「分かればいい。そしてお前らうるさいぞ」  先ほどの笑いをきっかけに、世間話に花を咲かせているクラスメイト達に向かって声を張り上げる担任。  俺はそれを横目で見ながら席に着く。  ああ、やっと日常が戻ってきたんだな。そう思えた。
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