未来は必然

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「みなさん、色々とありがとうございました。荷物をまとめて帰ります。それでは、お先に失礼します」  メイナが一万円札をテーブルに置き、立ち上がった。 「こんなにもらえないよ!」  奏音がそれを押し返そうとする。 「いいんです。どうせ向こうでは使えません。それに、これは、私の生きる目的と、私の能力の価値を教えてくださったみなさんへの、お礼です。取っておいてください」  メイナが俺たちのテーブルにお辞儀をして、店の出入り口に向かおうとした。 「約束!」  俺が声を張り上げると、メイナがこっちを見た。ついでに他の客も俺に注目しているが、仕方がない。 「約束だから。絶対会いに来いよ」 「分かりました」  メイナがにっこりと微笑んだ。 「楽しみにしていますね」  そういえば、すっかり笑顔が自然になったな。  そんなことを考えていると、不思議と幸せな気持ちになった。  メイナが店の外へ出て行くのを、みんなで見守った。  全員無言だった。
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