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「え?」
「どうして土岐亘が驚いているのですか。驚いたのはこっちです」
「淡々としてて、びっくりしたようには見えないけど」
「そうですか」
真顔で首を傾げる。
「とにかく、詳しく教えてくれ」
「詳しくもなにも、これ以上言うことはありません」
「だからっ」
俺が大きな声を出すと、彼女は肩をすくめた。
「私は未来から土岐亘に会いに来た。それだけのことです」
「理由は?」
「来ることになっていたからです」
「それって、誰かに決められたってこと?」
「いいえ」
「ならどうして」
矢継ぎ早の俺の質問に、メイナは淡々と答えていく。
「定め、でしょうか。私たちは――つまり私がいた時代の人間のことですが、全員生まれつき自分の能力を自覚しています。そして、それがなんのために備わっているのかは成長過程において理解します」
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