プロローグ

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 少女は、上空から爆発の瞬間を見ていた。 「生徒用昇降口に投げ込まれたと推定されている爆弾は、小型だったけどその威力はすごかったみたいです」  悲しげな表情を浮かべる歴史の女性教師を思い出す。  大きな爆発音とともに、何かが飛び散り、辺りが真っ赤に染まった。 「土岐!」 「亘くん!」  声が聞こえる。泣き声。叫び声。  爆風によって少女のボブの髪は逆立ち、制服のスカートはめくれあがっている。  校舎は赤々と燃え続けている。  朝の登校の時間帯だったこともあり、死傷者は多かった。  犯人も巻き込まれて死亡したという。  少女はきつく拳を握りしめた。
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