プロローグ

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 先程の授業で、少女はこの爆発事件のことを教わっていた。 「三十年前の今日、みなさんのように前途有望な生徒たちがたくさん亡くなりました。今後このようなことがないように、能力の暴発には気をつけてくださいね」  歴史を担当する女性教師が俯きながら言った。  話を聞いた生徒たちも一様に顔を曇らせていたが、少女はどんどん心拍数が上がっていた。  どうしてもこの事件を見てこなければならない。  強い思いが脳裏をよぎった。  どうしてそんなことを、と考えるのと同時に、自分にはタイムスリップの能力があることを思い出した。  きっとこのために使う能力なのだろう。確信する。  少女は授業が終わると即座に自分の力を使って、三十年前の今日へと向かった。  そして冒頭へと至る。
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