出会いは突然

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 夏休み明けの今日、ホームルーム前の教室はどこか浮き足立っていた。 「転校生来るんだってさ。知ってた?」 「え、女子? 男子?」 「女子!」 「うちのクラス?」 「そうそう」  誰がどこから情報を得てきたのか、転校生の話で持ちきりだった。 「おーい、お前ら席に着けー」  担任が入ってきて、みんなばたばたと席に戻っていく。  俺はそんな様子を、片肘をついて眺めていた。  ちなみに担任は、柔道部顧問のゴリラみたいなマッチョの男だ。  担任の後から着いて教室に入ってきたのは、噂通り女の子だった。  俯いていてあまり顔が見えない。  暗くて大人しそう。そんな印象だ。 「今日からこのクラスのメンバーになった、天翔(あまかけ)メイナさんだ。みんな仲良くしてやってくれ」  自己紹介して、と言われて一歩前に出た転校生。 「初めまして、天翔です。よろしくお願いします」  予想外だ。凛としたよく通る声。  俺はあんぐりと口を開けて、転校生を見つめた。  こちらを見た担任がからかうように言った。 「お、なんだ土岐。一目惚れか?」 「いや、あの、案外ハキハキ喋れるんだなと思って……」  ネクラだと思ったのに、とは口が裂けても言えない。
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