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必死にに記憶を辿っていたら、唐突に、周辺の人達の姿が『見た』のではなく『聞いた』話と一致していることに気がついた。
親子連れのママさんの髪は随分と長いし、休憩中のサラリーマンらしき男は、痩せた型体型の面立ちが見ようによってはこけて見える。
はしゃぐ子供はまだ年齢不詳の年頃だし、たむろするお年寄り達も、誰がおじいさんで誰がお婆さんかの区別がつかない。
勝手にもっとおどろおどろしい姿を想像していたけれど、聞いた話そのままといえば確実に当て嵌まる。
…俺はたまたま公園に足を踏み入れただけ。そして用もないからひっそりと帰って行く。
何ごともない。何に気づいてもいない。
努めてそういう表情と仕草を保ち、俺は不自然にならぬよう公園を後にした。
この日から半月ばかり後に、もう一度この公園のすぐ側まで行ったれど、その時には、外から見る限りでは誰の姿も見えず、物音もしなかった。でも中に入って自分の想像を確認することはできず、結局その足で俺は公園の側から立ち去った。
話に聞いた時には、そんなにたくさんの幽霊がいるなんてどんな公園だよと思ったが、ああいう形なら幽霊でも同時に現れることはできるだろう。
といっても、本当にあの人達が幽霊かどうか確かめた訳ではないから、実はただの近所の人かもしれない。けれど万が一の時、あの仲間には入りたくないので、このままあそこはああいう形で幽霊が出る公園なのだと思い続けて、二度と足は向けないようにしよう。
幽霊公園…完
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