Never give Up!

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 そういえば、道路の左手には海が広がっているはずだ。それなのに、背の高い防砂林で少しも見えないのがもどかしい。  すると次の瞬間、ぱっとそれらが視界から消え、荒い波が幾重にも重なる海が急に広がった。  道の起伏に沿った砂浜が、ずっと遠くまで続いているのが判る。  再び、二匹の鳶の姿が見て取れたが、荒れた波を低空飛行しながら、結局どこかへ飛んで行ってしまった。     国連安全保障理事会が、巨大隕石が地球に衝突する軌道にあると発表したのが一年前。  水面下では、もう20年も前から各国の技術者が集結して、軌道を変える対策を講じてきたと言われている。しかし残念なことに、現代の科学ではどうすることも出来ないとの結論に達し、スパコンの計算上でちょうど一年を残した日に、全世界へ向けて、地球の終わりを発表した。    我々地球の命は、あと残り一年…    一時はパニックになって、治安が乱れたりしだが、ここ日本は、他国と比べるとその収まりも早く、すぐに平常を取り戻した。  あと数ヶ月後に死ぬと分かっていながらも、畑を耕し、魚を養殖し、仕事に出て、子どもたちを教育する事を辞めない人種。  このミツバチのように完璧な秩序を持って行動する様は、世界中からは奇異に映ったようで、とても恐ろしがられた。     
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