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とろけるようなホスセリの笑みに、トヨホギもおずおずと笑みを滲ませる。喉をそらして唇を開き、ホスセリに続きを求めた。ホスセリの唇が、ふたたびトヨホギのそれに重なる。トヨホギは口を開いて、ホスセリの舌を招いた。
ホスセリの舌はトヨホギの舌をくすぐり、上あごを撫で、頬裏に触れた。口内をじっくりと探られるトヨホギの心臓が小さく痛み、肌がうっすらと熱を持つ。
(ただ身をゆだねていろと教わったけど――)
ただ堪えろ、という意味だったのかと、トヨホギは敷布を握った。気づいたホスセリが、トヨホギの手を取った。
「なにかに掴まっていたいのならば、我にすがっていればいい」
「でも……」
じわじわと表皮に生まれる感覚は、彼の肌に爪を立ててしまうほどのものになりそうで、トヨホギは戸惑った。まだ、はじまったばかりなのだ。きっとそうなってしまう。彼の肌に傷をつけたくないと、そう言ってしまうのは気恥ずかしくて口ごもると、ホスセリの唇がトヨホギの手の甲に触れた。
「どれほど我を感じているのかを、この身に刻みつけてほしい」
「ホスセリ」
静かにうなずくホスセリに、戸惑いの理由を汲み取られたのだと気づき、トヨホギは赤くなった。
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