【初夜】

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 ホスセリの穏やかな笑みに、トヨホギは恥ずかしくなってうつむいた。 「トヨホギ?」 「改めてそう言われると、なんだか照れくさくて」 「そうか。……そうだな。年端もいかぬころから、ずっと共に過ごしてきたのだから、いまさら妻だ夫だというのも、なんだか不思議な心地がする」 「ええ」 「だが、トヨホギ。これは紛れもなく、そういう行為だ。我等は大人になってしまったのだから」 「いやがっているわけじゃないわ、ホスセリ。ちょっと怖いだけ。お母様から、ただホスセリのするままに、力を抜いて身をゆだねていればいいと教わったけど、なにをされるのかわからないんだもの」 「我のするまま、か。ならば、トヨホギが怖くならないように、ただ愛されているとだけわかるように、しなければならないな」 「ホスセリ」  ほわん、とトヨホギの頬が朱に染まる。ホスセリは目じりをゆるめて、トヨホギの頬に唇を寄せた。 「母君から習ったように、力を抜いて我に身をゆだねていてくれ」  こくりと首を動かしたトヨホギは、目を閉じた。ホスセリはそっと彼女を横たえて、衣の止め具を外す。薄い布を取れば、トヨホギの裸身が現れた。シミひとつない肢体に、ホスセリは感歎の息を漏らす。 「美しいな」  きゅっとトヨホギの体に力がこもった。     
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