91人が本棚に入れています
本棚に追加
/196ページ
ホスセリの穏やかな笑みに、トヨホギは恥ずかしくなってうつむいた。
「トヨホギ?」
「改めてそう言われると、なんだか照れくさくて」
「そうか。……そうだな。年端もいかぬころから、ずっと共に過ごしてきたのだから、いまさら妻だ夫だというのも、なんだか不思議な心地がする」
「ええ」
「だが、トヨホギ。これは紛れもなく、そういう行為だ。我等は大人になってしまったのだから」
「いやがっているわけじゃないわ、ホスセリ。ちょっと怖いだけ。お母様から、ただホスセリのするままに、力を抜いて身をゆだねていればいいと教わったけど、なにをされるのかわからないんだもの」
「我のするまま、か。ならば、トヨホギが怖くならないように、ただ愛されているとだけわかるように、しなければならないな」
「ホスセリ」
ほわん、とトヨホギの頬が朱に染まる。ホスセリは目じりをゆるめて、トヨホギの頬に唇を寄せた。
「母君から習ったように、力を抜いて我に身をゆだねていてくれ」
こくりと首を動かしたトヨホギは、目を閉じた。ホスセリはそっと彼女を横たえて、衣の止め具を外す。薄い布を取れば、トヨホギの裸身が現れた。シミひとつない肢体に、ホスセリは感歎の息を漏らす。
「美しいな」
きゅっとトヨホギの体に力がこもった。
最初のコメントを投稿しよう!