第1章 なんやかんやの高校生活

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「め、女神の睡眠を邪魔するとは...何事かぁー!」 顔を踏まれながも抵抗するクロエ。 「貴様のせいで、作った朝食は冷め、学校は無断欠席。挙げ句の果てに俺の楽しみにしていた、『火曜から夜更かし』見逃しただろうがぁぁぁ!」グリグリグリグリ... 「っちょ、痛い!ご、ごめん!ごめんてばぁ!朝食は2人分食べたし、学校にもちゃんと海斗は風邪で休みますって連絡したもん!私したもん!『火曜から夜更かし』も録画予約の仕方わからないから、海斗の為に私ちゃんと見たもんんんんん!!」 ブチ 「それで許されると思ってるのかぁぁぁあ!!!!」 抵抗するクロエの足を掴み、卍の字固めをきめて悶絶する声が聞こえなくなった後、固め技を解除し、自分の部屋を後にした。 「ったくアイツは...ん?」 リビングのテーブルに紙が一枚と形がいびつなおにぎりが置かれていた。 『海斗へ。私のせいで気絶しちゃって起こそうとしたんだけど全く起きる気配がなかったので先学校に行ってます。先生には海斗は体調不良だけど良くなったら来るって伝えておくので、動けるようになったら学校来てください。それと、テレビの録画予約も忘れずにしてください。私がやりかた忘れてしまいました。ごめんなさい...。後でお仕置きは食らうのでそれで許してください!(痛いのは嫌です!)それとおにぎり作りました!よかったら、食べて下さい。じゃ、行って来まーす クロエより。』 クロエの字。 まだ練習中であって綺麗ではないが読めなくもない字。 理由はどうであれ、反省はしているようだ。 ガタン! 「よ、読んじゃった?読んじゃったわよね?あー!恥ずかしい恥ずかしいー!捨てるのすっかり忘れて寝てしまってた私ほんとバカー!!」 顔を赤面にし、自室に隠れたクロエ。 (後で少しやり過ぎたから謝っとくか..) 少しの罪悪感を抱えながら、さっきまでの苛立ちを忘れ、許してやろうと思いながら、クロエの作ってくれたいびつな形のおにぎりを一口頬張った。 口に広がる塩ではない辛味と酸味。 そして、海苔ではない何かの香ばしい風味。 本日2度めの意識を失った。 次に目覚めた時は、見覚えのない天井に、俺を取り囲むように集まる医師達。 泣き喚くクロエ。 「知らない天井だ...。」
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