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「正直、減量も星を詰めて花火を仕込むのも、地味すぎて投げ出したくなるときがある。でも、やめられないんだ。俺の拳が、俺の花火が誰かの心を震わすことができるならって思うと」
「それがお前さんの夢ってやつか? 俺だっていつも夢を見ている。よく似た形の夢さ。努力しても叶うかどうかはわかんねえだろ。つらくないのか」
「一年で一日でいい。今日だけは俺の日だって言える日があればいいんだ。そんな日があれば報われる」
ジュリオは翔也に瓶を差し出す。
「不器用な野郎だな。ま、俺も夢の叶え方は他に知らねえ。ほら飲めよ」
翔也は受け取り、瓶を打ち鳴らして言った。
「俺とあんたの日に乾杯だ」
―了―
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