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きっと僕は僕を殺したんだ。
肉体を、感情を、心を。
あぁ、ここは夢が降る街だ。
ひとの夢が、成し遂げたいことが、まるで手に取るようにわかる。
金、地位、名誉。
くだらない。
あぁ、くだらない。
本当に、くだらない。
滑稽な夢の戯れだ。
早く死にたい。でも、死にたくない。
死ぬのは怖い。でも、生きるのはもっと怖い。でもこれは、きっと君のせいなんかじゃなくて、本能的なところで怖がっているから、それが余計苦しい。
あぁ、君が降る街だ。
「世の中には、知っているのに、知らない振りをして、ひとを試そうとする、頭のいい人がいます。
でも、そういうひとより、私はあなたみたいなひとが好きです」
にこっとまるで音が出るように、笑って言ってくれた彼女は、今、何をしているだろうか。
幸せにやっているだろうか。なぜ、僕が幸せにしてやることが、できなかったのだろうか。
クシャッ。僕は飲みかけのビールの缶を、握り潰した。
少しだけ中の酒が零れ、手にかかる。
幸せも、愛情も、思い出も、全部金で買える代物。
もっと明るい小説が読みたい。
もっと明るい映画が観たい。
もっと明るい歌が歌いたい。
僕を救いたい。何より君を救いたい。
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