三十五万八千飛んで三番目のアリスの夢

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 実はとっても良い洋服屋さんがあるんだ!」  兎頭の執事さんは私の話を聞いてくれず、私の手を引いて行く。  最初に立ち寄ったのは、訳の分からない文字の看板が掲げられたお店。そこでお着替えらしい。  着せられたのは可愛らしい、まるで童話の中の女の子の様な服。 「僕の見立てに狂いは無かった!  ああ可愛らしい!最高だ!」 「…あ、ありがとう、兎さん」  兎頭の執事さんは諸手を上げ喜んでくれたから。  それが気恥ずかしくて、嬉しくて。  照れてしまうけど、思わず頬が緩んでしまう。 「さぁ行こう!アリス!」  考える間も無く、兎頭の執事さんは私の手を引いて歩き出す。  …それから私と兎頭の執事さんは、沢山のアトラクションに行った。  コーヒーカップで兎頭の執事さんがハンドルを全力で回して。  メリーゴーランドで兎頭の執事さんが馬から落ちて。  ジェットコースターで兎頭の執事さんがジェットコースターから落ちて。  ソフトクリームを兎頭の執事さんが落として。  ヒーローショーに兎頭の執事さんが乱入して。  アスレチックで兎頭の執事さんが迷子になって。  迷路でも兎頭の執事さんが迷子になって。  お化け屋敷では兎頭の執事さんがお化けを殴り倒して。     
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