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…ようやく、思い出せたのです。
「…この遊園地、とっても楽しかったよ。
…現実の世界は、とっても虚しいよ。
…でも私は、現実の世界で、生きていたかった。
…夢を見るんじゃなくて…夢を……叶えたかった………!」
女の子は、泣きました。
ぽろぽろ、ぽろぽろ。
大粒の涙。
女の子は、泣きじゃくります。
…兎頭の執事さんは、そんな女の子を、ぎゅっと抱き締めました。
「…兎、さん…?」
「…ずっと、考えていたんだ。
どうしてアリスに…君に記憶があるのか」
「え…?」
兎頭の執事さんは女の子を優しく離して、どさりと座席に座ります。
「…ここはね、幼い頃を幸せに過ごせずに命を終えた人達や、幼いまま命を終えてしまった子供達が来る場所なんだ。
…彼等は魂の寿命が終わりを迎えるまで、ここで幸せな最期を過ごす事が出来る。
だから記憶は全て消されるんだ…幸せな最期を過ごすのに、悲しい記憶はいらないからね」
「…ここは、天国なの?」
「似た様な所だよ。
…けれど、たまに、極々稀に、君の様な子供が来る」
「私の、様な…?」
「…君は、おそらく死んでいない」
「…………ど…………いう…………事…………?」
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