三十五万八千飛んで三番目のアリスの夢

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 …ようやく、思い出せたのです。 「…この遊園地、とっても楽しかったよ。  …現実の世界は、とっても虚しいよ。  …でも私は、現実の世界で、生きていたかった。  …夢を見るんじゃなくて…夢を……叶えたかった………!」  女の子は、泣きました。  ぽろぽろ、ぽろぽろ。  大粒の涙。  女の子は、泣きじゃくります。  …兎頭の執事さんは、そんな女の子を、ぎゅっと抱き締めました。 「…兎、さん…?」 「…ずっと、考えていたんだ。  どうしてアリスに…君に記憶があるのか」 「え…?」  兎頭の執事さんは女の子を優しく離して、どさりと座席に座ります。 「…ここはね、幼い頃を幸せに過ごせずに命を終えた人達や、幼いまま命を終えてしまった子供達が来る場所なんだ。  …彼等は魂の寿命が終わりを迎えるまで、ここで幸せな最期を過ごす事が出来る。  だから記憶は全て消されるんだ…幸せな最期を過ごすのに、悲しい記憶はいらないからね」 「…ここは、天国なの?」 「似た様な所だよ。  …けれど、たまに、極々稀に、君の様な子供が来る」 「私の、様な…?」 「…君は、おそらく死んでいない」 「…………ど…………いう…………事…………?」     
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