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『みんなー、元気してたぁ~?』
一人のアイドルが声をかければ、たちまち辺りは拍手と歓声で満たされる。
彼女の名前は、歌恋。バーチャルアイドルとして最近、人気が出てきた。そう、彼女は人間じゃない、いわゆるデジタルデータで出来ている。
スポンサーとなってるファンからお金をもらい、彼女が所属してる事務所が要望に応える(会社がモデリングなどをして歌ったり、踊ったりさせる)。
そんな歌恋は、私の目標だった。
デジタルとは言え、このライブ会場にいるのはファンそのもの、ペンライトの数や人の形をしたアバターが人気を物語っている。
「まーた見てる」
「梓、動画見るのもいいけどさ、練習もしようよ」
「……わかってるよ」
チームメンバーに文句を言われて、渋々イヤホンを外す。
「じゃあ、さっき失敗したところから……ワン・ツー」
リズムに合わせてステップを踏む。振付師から教えてもらったダンスをメンバーと呼吸を合わせて踊る。汗が飛び散り、蛍光灯の光を反射させた。
彼女とは違うキラキラを演出させて、靴がキュッキュッと音を奏でる。
「あ……!」
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