(1)「マンゲツさんとわたしのおはなし。」

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ミツバチたちはいくつかの隊に分かれて、ハチミツをハントします。 その場所も様々なので、蜜の花の割合もその日によって変わるのだそうです。 今日集めたのは一番隊と呼ばれる群れのミツバチで、 サイトウさんはその一番隊の隊長さんです。 彼はこの道のベテランハンターだと、マンゲツさんは言います。 サイトウさんはクローバーがたくさん花を咲かせる場所を知っていて、 普段はそこから蜜を集めてくるのだそうです。 でも今回はサイトウさん、朝早くまで咲いていた銀月草を見つけたのですね。 ミツバチは蜜の味や風味、色合い等にも通じていて、 この銀月草がとてもいい蜜を出す事を知っているそうです。 なるほど、クローバーの蜜にまじった不思議な匂い。 「プロの仕事はやっぱり違うね。」 マンゲツさんも、ホイップハニーをたっぷりと塗ったトーストをがぶり。 「太りますよ。」 「むぐ…!」 わたしの意地悪の仕返しに、マンゲツさんは困った表情でわたしを見つめます。  
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