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「あれ?少し寝不足そう?」
マンゲツさんは、わたしの顔を覗きこんできました。
「あ、はい…昨日ちょっと夜遅くなっちゃって。」
「ありゃあ、また時間忘れて、書いてたんでしょ。」
「はい、でもなんだかうまくまとまらなくて、結局ダメだったんですけど。」
マンゲツさんは優しく目を細めると、わたしの頭に大きな手を乗せて、撫でてくれます。
実はわたしは、絵本作家なのですが、今の所全然ダメな感じでして、
マンゲツさんはそんな私を応援してくれています。
「大丈夫、本当に君が書きたいものを、じっくり煮詰めればいいんだよ。」
「そうですよね…、でもそれが難しくて。」
「人間は、ついつい欲がでちゃうからね。」
「う…」
そう、考えてしまうのは、ついつい欲が出てしまう事。
「楽しませたい」って気持ちが変な方向に進んじゃう事。
マンゲツさんは、それが正しい方向に進めば、いい物語ができるっていつも言います。
マンゲツさんは本が好きで、色んな本をお店で読んでいて、
時々頼まれて本の批評までするぐらいなので、多分凄い人なんだと思います。
そんなマンゲツさんが、わたしには絶対それが書けると言うのだから、
たぶんきっと、いつかは書けるのだろうと、不思議な安心感もあるんですが…
こんな楽天的な考え方を持ってしまってもいいのだろうかと、不安にもなります。
だから、このお店でもっともっと色々勉強して、
がんばっていい物語を、書こうと思っています。
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