(1)「マンゲツさんとわたしのおはなし。」

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「でも、どうせならきちんと、教えて欲しいなあ。」 「え?何を?」 「私の絵本ですよ、どこがダメなのか、ちゃんと言って欲しいです。」 ぎくりと肩を少し震わせて、そろーりと横目で、わたしを見るマンゲツさん。 マンゲツさん、その反応はどういうリアクションなんでしょう? 「はいはい、私はまだまだですよ、本棚も食べない程の駄作ですよ。」 解ってます、それは書いてるわたし本人が。 私がそう言うと、マンゲツさんは慌てて、「そんな事はないよ!」と首を振った。 「ただちょっと、起承転結が甘いというか、誤字や脱字が多いというか・・・」 「え」 「脈絡が無い時がちょっとあったり、お話なのかなこれ・・・って時が」 「ああ…」 「ああ、時々だよ!ほんの少し!それがちょくちょくあるってだけで!」 一生懸命フォローをしてくれるマンゲツさん。 ごめんなさい、そもそもそれ以前の話だったのですね・・・。 「まず文章を書くという時点で、読み直す癖をつけた方がいいかもしれないね。」 少し間を置いてから、恐る恐る、といった風に言うマンゲツさん。 マンゲツさんは、結構正直にものを言う人です。 動物だから、歯にものを着せたり、ごまかしたりはしないのかでしょうか? いや、でもこの間、マンゲツさん私の作ったケーキの感想聞いたら、 返答に困って、色々結構言葉を濁してたっけ・・・。 「・・・何?」 「なんでもないです。お皿さげてきまーす。」 時々意地悪なマンゲツさんへのお返しに、ちょっとそっけなく振舞うわたし。 効いてる効いてる、マンゲツさんってば、かなり頑張ってご機嫌取りの準備中です。  
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