第一章 晴れ時々、陰陽師

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私、稲村ひとみは陰陽師が好きである。初めて知ったのは大好きだった祖母に「先祖が陰陽師に助けられた」と言う昔話だ。何度も聴かされた昔話なのに内容を忘れていたけれど漫画や映画などに登場する陰陽師が気になり、いつしか好きになっていた。厄災から身を守る為に九字印を覚えたり、「急急如律令」と叫んで幼馴染をいじめっ子から守ったり、五芒星グッズを集めたり、史跡を巡ったり。いわゆるミーハーな陰陽師好き。陰陽道に基づく占術や呪術の真似事で占いも好きになった。天文の観測にも興味がわいた。それら全て趣味の範囲で広く浅くになってしまっている。それでも趣味だし陰陽師と結婚するわけでもないから、いっか!と過ごしてきた。祈祷や祭祀、偉い方々を呪術的な力で守る職も担ったのだから今の時代に子孫がいてヒッソリ生活していてもおかしくないのに、実際に存在したであろう陰陽師も想像上の人物像として片づけていた。私が現在に潜む陰陽師と出逢ったのは遊びたい盛りに過酷な修業を強制された安倍家の血を継ぐ三人の姉兄弟だった。何の因果か三人とは別々に出逢い後に姉兄妹と言う事を知るわけだが。この出逢いが私の人生に吉と出るか、それとも・・・。そういうのを自分で占えばいいのになぁ、と想ってしまう。占いが好きでもセンスが無い様で趣味止まりだから結局は意味が無いのかもしれない。そう、占いと言えば姉兄弟の姉との出逢いは占いだったのだ。私自身は流行り廃りに関係なくマイペースなタイプだが友達の田中美里が流行りに目が無い。占いが好きでもセンスの無い私では話にならないからと今、人気の占い師に占って貰いに都内へ向かうことになった。そこで出逢ったのが姉兄妹の姉だったのだ。
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