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満天の夜空の下。
輝く星空の中、見守られるかのように、男は力尽きようとしていた。
唐突に突きつけられた、死。
刺された胸に無意識に手をやりながら、主人と定めた相手を見る。
自分を見下ろす冷酷な瞳に、それでいいと思えるから不思議だ。
ただ、ずっと仕えていたかった。己の思惟に賛同してもらえたらどれだけ良かったか……。
己の失敗……。それは、この少女の存在を正確に把握していなかったことだ。
何が、彼らを、主人を、惹きつけるのかわからない。
大きな瞳は驚きに揺れている。どこにでもいる、頼りなく何の価値も見出せない小さな人間。
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