Valentine’s Day

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「今年も恥ずかしいからお願いだって」 「そうなんだ。じゃあ、会えば伝えるけど、取り敢えず多香ちゃんからお礼伝えておいてくれる?」 「わかった。美柚も相変わらずだけど、狭山さんも相変わらずね」  互いに苦笑交じりのその会話に、横で聞いていた矩斗が興味深げに問いかけてくる。 「狭山さんて?」  問われて初めて、同じ中学出身でも学年が違うから面識がないのだと今更ながらに気づき、穏やかに微笑み返答を待つ矩斗に説明した。 「狭山さんは中学の二年になってから、関わることがあって。でも、全然話しかけてはくれないんだ」 「それなのに、チョコはもらうの?」 「うん。なぜかそこから毎年くれるの。でも、この一年もろくに話したことはないし……。 同級生なのだからもっと仲良くしてくれたらいいと思うのだけど」
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