4.世界の終わりの始まり

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 容姿こそ、その世界の女だが中身は完全にタナシンとなっていた。【恐怖】に駆り立てられ言語が崩れている。  ちなみに、タナシンの数値は測定しきれなかった。逆に装置が【恐怖】に狩られておかしくなってしまったほどだ。対するブログは数値は計測されなかった。感情がないからだろう。“0(ゼロ)”と測定不能。異例の数値の組み合わせにより、世界を支えていた装置は壊れてしまった。  とは、本来、世界を滅ぼそうとしていたブログが自ら開発したナノメタルによって目的を達成したのだ。 「『犯罪係数の国』・・・」  ステンドは記録する新たに潰された世界を。紙に書かれていた世界、無数にある世界は幾つも黒く塗りつぶされていた。 「最近の報告では、我々の攻撃を恐れ全ての世界から隔離されていた世界も繋がったらしい。クロッカーが前々から仕込みを行っていたらしく。予定通り、パラドックスが発生し世界の理が崩壊すると同時に、隔離の大元であった結界が壊された。本人は面倒くさがって動かず、クロッカーズにやらせているが、もうじき報告がくるだろう」  世界は黒く塗りつぶされる。 「『錬金術の国』・・・『死神の国』・・・『料理の国』・・・」  黒く。黒く。黒く 「『泥棒の国』・・・『アヤカシの国』・・・」  黒く。黒く。 「『絶望と希望の国』・・・」  黒く。  そして、最後は全てが真っ黒に紙が埋まる。  もうすぐ、世界は黒く染まりきるだろう。そして、そこで生まれた【絶望】は全て、グラスに捧げられるのだ。彼が完全な存在となる為に。  そして、最後に迎えるのは、決まっていた。  全ての者が望む終局、それが“世界の消滅”だ。
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