二章・毒のドリンク

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信じられない出来事が昨日から連続して起こっている。僕は吉田部長に何も説明できないまま、慌てて先輩の家へ行くことになった。 しかし、なぜ自殺したんだ? 昨夜はそんな素振りなど全然なかったし、知り合いの会社に誘われているので転職の心配はしてないと言い切っていた。 「もしもし、奥さんですか?会社でお世話になっていた伊藤俊哉です。先輩が自殺したって本当なんですか?」 僕はタクシーに乗るとすぐに登録してあった先輩の携帯に電話した。奥さんの明美さんとは面識はないが、電話で何度か話したことがある。 明美は家の書斎のデスクに座ったまま死んでいる主人を見ながら電話していた。 机の端に置いてあった携帯電話が鳴っていたので、リビングから来て携帯電話を手に取ったのである。 「伊藤さん。ええ、主人は死にました」 デスクには緑色の汚物が一面に広がっている。 そして田仲実はうつ伏せになり、顔を横に向けて緑色の舌を口から垂らして酷い死に顔を半分だけこちらに見せていた。 そして紙片が一枚あり、そこに最期のメッセージが書いてあった。 【 毒のドリンクは二本あった。それも数時間後にその毒に呪われる。】
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